解体工事の依頼前に準備するべき事と解体後の手続き

解体工事、どこから手をつけたらいいの?

 

「誰も住まなくなった空き家を解体したい」「建替のために既存の家屋を解体して更地にしたい」

「ずっと放置していた空き家に、市から解体工事の要請が届いた」…等、解体工事に取り掛かるキッカケは様々ですが

「どこから手をつけていいかわからない」「どんな準備をすればいいの?」という声が多く寄せられます。

解体工事を依頼される予定の皆様へ、手順や準備するもの、やっておくことなどをまとめてみました。

解体工事をご検討中の方は是非ご参照ください。

 

▽目次

解体工事を進める前に・・・

注文者(施主)が工事責任者であるということ

まず初めに、

解体工事において発注内容に不備があり問題が生じた場合、注文者(施主)の責任となることを把握しておきましょう。

「解体工事中に何かを傷付けてしまった」という場合は、基本的に請負業者の賠償責任となりますが

(※請負契約書の内容によって異なります)

発注内容に発注者側の過失とみなされるような問題があった場合には、注文者にその責任が及ぶ可能性があります。

 

(注文者の責任)

第716条  

注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない

引用元:民法第716条

 

例えば、

土地の境界にあるブロック塀の所有権を確認せず解体業者にブロック塀撤去の依頼をしたが

解体後にお隣の住人から苦情が上がった場合(※ブロック塀が共有であった場合)などは

注文者が事前確認しておかなければならない内容なので注文者に責任があります。

「解体業者に依頼したことだから…」と思ってしまいがちですが、

発注する段階で確認・把握しておくことは注文者の義務になります。

解体を専門に行っている業者であれば把握している内容ですので、不安な方は見積を依頼する前に相談してみましょう。

 


解体後の目的を明確にする

・借地に施主が所有している家屋があり、解体後に土地を返還する場合

地主に相談し、解体後どういった状態で引き渡せばよいか確認しておきましょう。

整地後の状態や、樹木、ブロック塀の撤去等どの程度の状態で返還すべきかを確認して解体業者に伝えましょう。

 


・既存の家屋を解体し建替する場合

建替の場合、既存の家屋解体はもちろん

基礎の取り残しや地中の埋設物などが見つかると新築工事の着工後に工程がストップしてしまうことになりかねません。

特に分離発注のような、新築工事と解体工事の業者が異なる場合は解体後の引渡し条件をしっかりと確認しておきましょう。

(分離発注を行う旨を伝え、業者間のやり取りができる様にしておきましょう。)

 


・解体後に駐車場にする場合

解体後に駐車場として利用する場合、コンクリートやアスファルトで仕上げるのか砂利や土の状態で使用するのか

で整地の仕上げ方が変わってきます。

見積依頼をする前に、解体業者や駐車場の施工業者に相談しておきましょう。

 


※その他の注意点

・敷地内の樹木の伐採、抜根

・ブロック塀の撤去

・井戸の埋設

・池の埋設、庭石の処理

・家財道具の搬出、処理

上記の内容で該当する項目がある場合は、

解体後にどういった状態にしておくべきか明確にしておきましょう。

 


工事を依頼する前に準備するもの(やっておくこと)

家屋の図面、敷地図を用意する

通常、家屋の図面は設計事務所もしくは設計図の確認申請を出した人が保管しています。

敷地図は法務局で入手できます。

隣地との境界位置などを明確にしておくために準備しておきましょう。

 


ライフラインの停止申請

電気・ガス・水道・NTT 各業者に解体工事を行う旨を伝え事前相談をしておく。

水道や電気は解体工事に使用する場合もある為、解体業者にも相談しておきましょう。

 

解体工事の補助金制度を利用する場合

補助金申請に必要な期間や準備するもの

北九州市では老朽家屋の解体工事費用に対して最大50万円まで補助金を受け取ることができます。

補助金申請を行う場合

事前相談や、申請期間、申請に必要な書類や写真の準備する期間を考慮すると最低でも1〜2ヶ月前には行動しましょう。

また、2016年度の後期の補助金申請は受付開始初日に予算終了の為受付終了となってしまいました。

補助金申請をご検討されている方は、前期・後期の受付開始日を定期的に調べ受付開始前までに事前相談をすませておきましょう。

※受付開始日に関しては市役所の担当部署に確認しても「凡そ何月頃の予定」という情報しか教えてもらえません。

ホームページや電話問い合わせでこまめにチェックしましょう。

補助金申請に必要な物や手順に関しての詳細は下記ページをご参照ください

老朽家屋の解体工事には補助金が出ることをご存知ですか?

補助金申請

解体業者を選ぶ

相見積で価格の比較をしてみる

解体業者にもそれぞれ得意・不得意なジャンルがあり、内容によっては解体費用が高くなってしまうこともあります。

弊社の場合、木造家屋の一軒家〜3階建て程度のSRC(鉄筋鉄骨コンクリート)のアパート解体は得意としていますが、それ以上の大きなビルや商業施設に関しては重機の規格や人員の問題上あまり得意とは言えません。

大手の有名な工務店などは、下請け業者に丸投げすることも多く中間マージンが発生することで解体費用が高くなってしまうこともあります。

2〜3件は相見積もりを取り価格を比較してみましょう。

 


悪徳業者には要注意

見積書に細かい項目を載せ高額な解体費用を請求する業者も存在します。

弊社でも過去に相見積りでご相談頂いたお客様から

「他社だと見積にこんな内容が入ってますが、フォレスト舎さんはちゃんとやってもらえるんですか?」

というご質問と共に見積書を見せて頂いたのですが、

敢えて見積書に上げる必要のない項目を沢山あげて一見素人目には正当な価格に見える内容にされていました。

知識のないお客様を狙い高額な費用を請求してくる業者にはご注意ください。

 


安すぎる見積額は廃材の不法投棄の可能性も⁉︎

また極端に解体費用の安い業者も要注意です。

解体工事費用の内訳は大きく

人件費

・廃材処理費

・諸経費(重機や車のガソリン代、消耗品費など)

・営業利益

に分けられます。

この【廃材処分費】を不法投棄することで、解体費用を極端に下げた見積を出してくる業者も存在します。

基本的には不法投棄を行った解体業者が罰則を受けることになりますが、信頼できる業者であるかどうかを調べていない・若しくは不法投棄を行っていることを知った上での発注を行うと施主(発注者)が罰則を受けることになります。

 

 廃棄物の不法投棄・焼却行為の禁止

廃棄物の不法投棄や焼却行為(野焼き)は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により禁止されており、これに違反した場合の罰則(5年以下の懲役もしくは一千万円以下(法人にあっては三億円以下)の罰金、またはこれを併科)も規定されています。

引用元 : 北九州市ホームページ

 

相場や他社比較よりも極端に解体費用が安い場合は、見積の内容に対して質問してみましょう。

不法投棄や解体費用については下記ページもご参照ください。

・施主にも罰則が科される解体工事の不法投棄

解体費用の内訳詳細と価格の違いを産む要因

解体工事終了後の手続きについて

仕上がり確認、引渡し

施工後の状態を発注者(施主)立会いの元確認後、引渡しという流れになります。

解体後の土地の利用方法によって求める仕上りの状態が異なりますので、整地後の状態をしっかりと確認しておきましょう。

 

・仕上りが悪く水勾配が取れていない

(砂利や土の駐車場として使用して行く場合など)

・地中にゴミや廃材、基礎の取り残しが入っていた

(新築工事の際など、基礎を新たに打つ場合)

・伐採、抜根、井戸の埋設など依頼していた内容の確認

 

上記項目に気をつけ仕上りの状態に問題がないか、しっかりと確認をしてから引渡しへと移りましょう。

弊社では空き地の管理として雑草や樹木が生えないようクラッシャラン(砂利)で整地しておくことをお勧めしておりますが

今後、土地を利用していく予定がない場合整地の仕上りに予算を掛ける必要がないことも御座います。

目的に応じた仕上りになるよう、解体業者へ依頼しましょう。


建物滅失登記

解体工事終了後は法務局にて建物滅失登記の申請を行いましょう。

原則として取り壊しから1ヶ月以内に申請をしなければならず、申請を怠った場合10万円以下の過料に処すと定められています。

 

(建物の滅失の登記の申請)

第57条

建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。

引用元 :不動産登記法第57条

 


滅失登記の申請方法

最寄りの法務局で登記簿謄本(全部事項証明書)を取得する

登記簿謄本を取得する際は、「住居表示」ではなく「地番」「家屋番号」を特定する必要があります。

建物の所在(地番)と家屋番号は、権利証や、固定資産税評価証明書、固定資産税の納税通知書などに記載されています。

※「住居表示」とはいわゆる住所で、「地番」とは全く別物です

 


申請を行う人は

原則として建物の所有者が申請する必要があります。

共有名義の場合は共有者の一人からでも申請することが可能です。

また、相続人から登記を申請することも可能である為、相続登記をする必要はありません。

但し、相続登記をしている場合は所有者として申請します。

 


滅失登記に必要なもの
  • 登記申請書(委任する場合は必要ない)
  • 取毀し証明書(解体業者が発行)
  • 解体業者の印鑑証明書
  • 解体業者の資格証明書or会社謄本
  • 住宅地図(現場確認のための住宅地図の添付要求されることがあります)
  • 登記申請書のコピー 1部
  • 委任状(※他者に申請を委任する場合)
  • 依頼人の印鑑証明(※他者に申請を委任する場合)

 


申請方法

上記項目で用意した書類(大きさは全てA4サイズ)を重ねて左側をホチキスで止めます。

提出先は管轄の法務局の不動産登記申請表示係の窓口で登記申請書類一式を提出します。

管轄の法務局を調べる場合は下記法務局のホームページをご覧下さい。

法務局ホームページ 管轄のご案内

 

不明な点はご相談ください

 

解体工事に取り掛かる際に必要な物や、解体工事後に申請する内容等の

基本的な内容をご紹介させて頂きましたが、皆様の解体対象家屋がそれぞれ異なる様に

ここではご紹介出来ていない特殊な要件も多々あるかと思われます。

不明な点やご相談など御座いましたら、お気軽にお電話やメールにてご連絡ください。

LINEでのご相談・お問合せも受付ています。

下記リンクより「友だち追加」をしてからご相談ください。

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